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品質保証(QA)ツールをうまく活用して、翻訳作業の効率を上げる方法

今回の記事では、翻訳業界で使用されているQAツールが持つ機能をご紹介し、その強みと弱みを比較したいと思います。

本記事は主に、翻訳者の皆様をはじめ、翻訳の品質管理や校正を担当されている方や、翻訳の品質を上げる方法を知りたい方、また、翻訳会社での品質管理の工程に関心のある方などを対象としています。

目次[非表示]

  1. 1.QAツールとは
  2. 2.QA ツールで行えること
  3. 3.有名なQAツール
  4. 4.QAツールでできないこととQAツールの弱点
  5. 5.まとめ――QAツールの力を引き出す使い方
  6. 6.川村インターナショナルのサービス

QAツールとは

「QAツール」とは、翻訳の品質保証(Quality Assurance、QA)をサポートする機能を持つソフトウェアのことで、翻訳中に起こりがちなミスを発見する手助けをしてくれます。

QAツールは基本的に、原文と訳文を比較することで誤りの可能性がある箇所を検出します。そのため、QAツールを使用できるのは、翻訳支援ツール(CATツール)で作業する際に生成されるバイリンガルファイル(原文と訳文がペアで表示される形式のファイル)に限られます。言い換えると、訳文のみを含むファイルに対して QA ツールは使用できません。

類似の機能を備えたCATツールもありますが、カスタマイズ性や検出できる項目の豊富さにおいては、やはり品質保証に特化して開発されたQAツールのほうが優れているといえるでしょう。


QA ツールで行えること

前述のとおり、QAツールでは、原文と訳文を比較して、翻訳のミス(以下、「翻訳エラー」と呼びます)の可能性がある箇所を検出します。どのような内容をチェックするかは、あらかじめ指定することが可能です。ツールで検出した結果を基に、人が修正の要否を判断して実際の修正を行います。

翻訳エラーの可能性があるものとして、QAツールでチェックできる項目の例をいくつかご紹介します。ここでは、英語を日本語に訳す場合の例を取り上げています。

チェック項目の例

詳細
文章の訳し漏れ(訳抜け)

原文に対して訳文が存在しない。

(文単位もしくは文章単位で対応する訳文が見つからない場合のみ。文中の単語の訳抜けまでは検出できません。)
訳文/原文の重複

ある原文に対して、以下の「訳文1」と「訳文2」のように複数の訳文が存在する。またはその逆に、ある訳文に対して複数の原文が存在する。


【例】

原文:Click “Accept” button and close the window.

訳文1:“同意する” ボタンを押して、ウィンドウをとじます。

訳文2:“同意する” ボタンを押し、ウィンドウを閉じます。

訳文が原文より極端に短い/長い
原文と訳文の長さに著しい差異がある。
用語集違反
ツールに読み込ませた用語集の内容と異なる訳語が文中で使用されている(用語集とは、用語の原文の訳文を一覧化したものです)。
略語の不一致

原文で使用されている略語が訳文に存在しない。


【例】

原文:I installed a new CAT tool.

訳文:新しい翻訳支援ツールをインストールした。
数字の不一致
原文で使用されている数字が訳文に存在しない。または、原文にない数字が訳文で使用されている。
引用符/括弧の不一致

文中で使用されている引用符や括弧が原文と訳文で一致しない。


【例】
原文:Click “Menu” button.

訳文:メニューボタンをクリックします。

※    訳文でダブルクォーテーションが使用されていない


原文:Click “Menu” button.

訳文:”メニューボタンをクリックします。

※    訳文のダブルクォーテーションが不足している

句点/文末記号の不一致

原文のピリオドに対応する句点が訳文にない。


【例】

原文:Today, I will talk about QA tool.

訳文:本日は、QA ツールのご紹介をさせていただきます
タグの不一致
文中で使用されているタグが原文と訳文で一致しない。


プロの翻訳者であっても、人間である以上、ミスは起こり得るものです。そのため翻訳会社では通常、翻訳後に「バイリンガルチェック」という工程を実施して、翻訳者とは別のレビュー担当者が原文と訳文を見比べながら翻訳をチェックしています。

しかしながらレビュー担当者もやはり人間ですから、ミスを見逃してしまうこともあります。上の表に挙げたチェック項目はいずれも、翻訳の際に起こりがちなエラーに対応しています。こうした「ミスしやすい」ポイントのチェックを人よりも速く、正確(機械的)に実施できるのは、作業効率の観点で大きなメリットがあります

有名なQAツール

ここで有名な QA ツールをいくつかご紹介します。

ツール名
提供元
価格
無償トライアル

X.BENCH.NET

99ユーロ/年

30日間

YAMAGATA EUROPE
無料

―――

Palex Group

89ドル/年 (Freelance)

369ドル/年 (LSP)

14日間
D.O.G. GmbH

249ユーロ(Freelance)

980ユーロ (Professional)

記載なし

Logrus

無料

※要アカウント登録

記載なし

価格は 2022年1月24日時点のものです。正確な情報は各ツールのホームページでご確認ください。


どのQAツールでも例に挙げたような基本的なエラーは検出できますが、操作性やレポート機能、インターフェースの外観などが異なるので、トライアル版を試してみて、自分に合ったQAツールを探してみることをお勧めします。有償のツールが多いですが、QA DistillerやRIGORAのように無償で使用できるものもあるため、まずはこれらのツールを使用してみてはいかがでしょうか。

XBenchについては、過去にこちらの記事(株式会社川村インターナショナルのコーポレートサイト、ブログページへ外部リンクします。)でご紹介しています。

QAツールでできないこととQAツールの弱点

QAツールはあくまで「翻訳エラーと思われる個所を発見する」という、翻訳作業をサポートする役割を持ったツールです。発見した箇所がエラーかそうでないかを判断するのは人です。そして、修正するのも人であることを覚えておかなくてはなりません。

また、機械的なチェックによる正確性やスピードというメリットがある一方で、検出される結果の量が多くなってしまった場合、確認作業が大変になるというデメリットがあります。検出結果はあくまでも「エラーの可能性がある」箇所のため、実際には正しいものも含まれます(このような誤検出は、英語で「False positive」と呼ばれます)。検出数が多いからといって翻訳エラーが多いとは限らず、時間をかけて精査したらほとんどが正しかった、ということも起こり得ます。そのため、検出結果が膨大な場合は、その内容の傾向を見て、検出対象の項目を見直す場合もあります。

​​​​​​​

まとめ――QAツールの力を引き出す使い方

QAツールは非常に便利ですが、作業の効率を高めるには、機能の特徴を理解して有効に使いこなすことが求められます。

翻訳者の方であれば、翻訳の完了後に、略語が多い、数字が多いなどの内容に応じて、特に気になった項目をツールで検証するのは有用でしょう。翻訳の品質管理を担当している方であれば、ツールで確認する項目の選定に加えて、人によるチェックの必要性も考慮しながら使用方法を検討することをお勧めします。

例えば、定義されている用語の数が多い場合は、用語については人が文脈を見ながらチェックを行ったほうが効率的な場合がありますし、複数の翻訳者が共同で翻訳した文章については、訳文の一貫性や統一の観点で人が目を通すことも検討する価値はあります。それほど分量の多くない文章であれば、チェック工程を含めずに、CATツールのQA機能のみで完結できるかもしれませんが、結果を判断するのはやはり人になります。

文章の内容やかけられる時間と予算など、場面に応じてどの機能をどのように使用するかを検討することで、QAツールの力を発揮できます。ぜひQAツールを活用してみてください。

川村インターナショナルのサービス

川村インターナショナルでは、自動検証機能を有した機械翻訳プラットフォーム「XMAT」を提供しております。用語集の適用やスタイルのチェック、訳揺れチェックなどを自動で行えるほか、機械翻訳文のエラーを見つけやすくする「リバース一致率(逆翻訳)」などをご利用いただけます。エラーの確認作業を効率化したいとお悩みの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

  機械翻訳活用プラットフォームXMAT®(トランスマット)|機械翻訳・AIの有効活用 言語データのデジタル変革を実現【LDX lab】 XMAT®(トランスマット)は、機械翻訳を「簡単に」「安全に」活用して翻訳処理を効率化できる機械翻訳活用プラットフォームです。月額5,500円(税込)/1ユーザー~。ドラッグ&ドロップするだけで様々な形式のファイルを翻訳できます。専門用語にも対応。原文の修正と翻訳された訳文の後編集をエディター画面で行うことも可能です。 LDX lab


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KIマーケティングチーム
川村インターナショナルWebマーケティングチームです。開催予定セミナーやイベントの告知、ブログ運営などを担当しています。

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